TAKARA confections+cafe
タカラ コンフィクション+カフェ








ヨーロッパの郷土菓子やそこから着想を得たお菓子を製造するカフェ機能を持つアトリエのリノベーションである。
一方通行の狭い道に面した店舗は、壁面が色褪せてはいたものの、特徴的な出窓がファサードを作り出していた。窓は、内部に眺望をもたらすと同時に建物のファサードの印象を決定づける重要な要素である。
既存の出窓と床のタイルを活かし、今まで作り出していた風景の記憶を保存しながら、新しい風景や情景を作り出せないかと考えた。
エントランスから入ると右側にアトリエ空間として意匠性の高いカウンターを設け、左側にL字のくすんだ緑色の壁を立てカフェ空間として、その奥にトイレを配置する構成とした。
右側の窓からはカウンターに置かれたお菓子やアトリエで作業をするスタッフが見え、左側の窓からはペンダント照明のもと席でくつろぎ、会話を楽しむ人々が見えるよう計画した。
そこで行われる様々な物語の1シーンを、新しい色に塗装したフレーミングされた窓が切り取り、アトリエとカフェのファサードをつくり出し、日々変化し続ける。外部から店内の様子が伺えるため、通行者に対し視覚的な魅力を伝えるのにも効果的である。
「トムソーヤの冒険」や「ロミオ&ジュリエット」における窓は、物語の装置として効果的に使われている。それらの窓のように機能し、訪れる人々や前を通る人々の物語の一部となることを期待している。
- 設計
- 小田真平
- 施工
- E.M.Works
- 写真
- 河田弘樹