SHINPAKU
心拍


























山田錦の生産量が日本一である三木市に建つ農家住宅を改修し、宿泊滞在して農業など地域文化を体験できるオーベルジュのプロジェクトである。
昔ながらの「農業」のイメージを払拭し、高齢化が進む農業に若者の目を向けさせ、機能性とファッション性を兼ね備えた、誰もが参加できるコミュニティ型の新しい「農業」の拠点をつくることを目指した。
正方形のキッチンは、収穫した野菜を屋外から直接持ち込み、世間話をしながら、洗い、調理する、ときには相談を持ちかけたりする、暮らしの中心となるようなかつての「井戸端」や「おくどさん」のように機能する。
円卓では地元で採れた最高級の山田錦を使った酒を提供し、 世界でも稀有な日本酒のテロワール文化風土を体験する。
名前の由来ともなった「心白」のような白いボリュームに入ると、宿泊滞在するための空間が現れ、曲面の壁により2階に導かれて、稲藁で作られたベッドで就寝する。
既存建築を活かしつつ、機能を整理し、追加する用途に供する空間を現代的に読み替えたマテリアルで仕上げた。
「SHINPAKU」が大切にするプロセスである「共耕する」「対話する」「わかり合う」「共に最高をつくる」「乾杯する」「讃え合う」を体現できる、シンプルであるが洗練された空間を提案した。
井戸端
「井戸端会議」という言葉があるように、洗濯物をすすいだり野菜を洗ったり、自然と人が集まって、世間話をしたり悩みを聞いてもらったり、ときには相談を持ちかけたりする場所である。
おくどさん
かまどを指す言葉で、京都の方言が起源と言われている。
かつてのキッチンである。
心白
米の中心の白濁している部分で、主にデンプンでできている。
心白は、酒造りに適した米である酒造好適米や心白米の特徴のひとつ
- 設計
- 小田真平建築設計事務所 小田真平 + ひとともり 長坂純明
- 施工
- 岸建工
- 写真
- 河田弘樹